地元企業の従業員さんからヒントを得た、エコでアイデア満点のだし醤油。
日本各地にある地域性に富んだ郷土料理。インターネットが発達した現代でも、世の人々に知られていない食べ物や食習慣は数多くあります。
四万十の食文化をたくさんの人に知ってもらいたい。そんな思いで設立された「しまんと百笑(どめき)かんぱに株式会社」は、高知県四万十市で地域の情報を集め、商品を作り販売する地域商社です。
まだ地域商社という言葉が広まっていない2015年に設立された「しまんと百笑かんぱに株式会社」。設立のきっかけや四万十に対する思いを、社長の細木紫朗(ほそぎしろう)さんに伺いました。
細木さんがしまんと百笑かんぱに株式会社を立ち上げたのは2015年。
その前は四万十市の幡多地域にある印刷会社「せいぶ印刷工房」で働いていました。
自治体や観光協会から依頼される仕事も多く、「観光客が町を訪れた際、お店の情報をまとめて紹介できる冊子がない」という相談があったことから、2005年にフリーペーパー「はたも~ら」を発刊。このフリーペーパーが、「しまんと百笑かんぱに株式会社」設立の大きな要因です。
「おじいちゃんと孫が安心して読めるよう、夜のお店や遊戯場は一切排除。お店の宣伝も、しっかり店主が店の前に立って笑っている写真を掲載して、地域のいろんな人の話題に上がるように意識しました」
細木さんの狙いは功を奏し、「はたも~ら」は発刊20周年を目前に控えた地域に愛されるフリーペーパーに。
「新しい商品を販売するから掲載してほしい」といった、店舗や商品の最新情報が多く集まるようになったことから、2011年に当時専務を務めていた細木さんが物販事業を立ち上げ。
宣伝にとどまらず、実際に商品を販売するという新しい試みが始まりました。
人の作った商品を販売するだけでなく、自分たちも商品を作らなくては、と、自社商品第1号として誕生したのが、今回にほんコッソリ良品店でも取り扱う「自分で作るだし醤油」です。
開発のきっかけは、「せいぶ印刷工房」のお客さんの1人だった宗田節の製造会社。
割れてしまったり、落としてしまったりと、商品として世に出せなくなってしまった宗田節を従業員の方々が持ち帰り、醤油瓶に漬けてお手製のだし醤油を作っていることを知り、誰でも簡単に同じものを作れないかと商品化を目指しました。
空の醤油瓶の中に高知県産の宗田節が入っており、自宅にある醤油を注いで漬けることで、宗田鰹の豊かな風味が醤油に染み出すように作られています。
鰹節のだし醤油も出来上がり、次に挑戦したのは鮎。秋から冬にかけて四万十川では落ち鮎が大量に獲れ、冷蔵庫がなかった時代は囲炉裏の火の上で燻製にし、正月にお雑煮を作る文化がありました。
「じゃあ、これも醤油に入れたらだしが出るかなと思ったら、いつまで経っても出なかった。諦めて1週間くらい放置して、ふと思い立って試しに味見したら劇的にうまかったんです。身がからからになるくらい焼き上げているんで染み出すのが遅いみたいなんです」
宗田鰹節、鰹節、焼き鮎。こうして四万十の食文化が作った3種の「自分で作るだし醤油」が完成。
より多くの人々に四万十の食を広げていくことを目指し、細木さんは印刷会社を退職し、独立。地域商社「しまんと百笑かんぱに株式会社」を設立しました。
商品開発だけでなく、リブランディングも手がける「しまんと百笑かんぱに株式会社」
自分たちの育てた農産物をどうやったら買ってもらえるのか、と農家さん自らが細木さんの元を訪れることも少なくありません。
例えば、「土佐ジローの極みたまご」
高知県の地鶏である「土佐ジロー」という品種は、全国初の卵肉兼用の地鶏。
土佐地鶏とロードアイランドレッドの子どもに当たる品種ですが、一代雑種のため、土佐ジローから生まれたヒナは土佐ジローと認定されません。育てるには数多くの規定があり、手間もかかります。
その分、卵も肉も味は格別ですが、卵のサイズが一般的な卵と比べて小さい点がネックとなっていました。
「普通の透明パックに入れて一般的な卵と同じ価格で売るんじゃなくて、しっかりデザインした紙のパックに入れて高価格帯の卵として販売しました。ちゃんとそれで売れる値打ちがその卵にはあるのに、普通の売り方なんてもったいない!って」
結果、「土佐ジローの極みたまご」は月に数十個も購入する根強いリピーターを獲得。
「特にサイズが小さいから」と今まで販売せず自分たちで食べたり、廃棄していたという初卵も縁起物として販売。売り切れが続出する人気になりました。
四万十の雄大な自然が育てた質の高い農産物を、どうしたら外の人にも知ってもらえるか。
橋渡し役として常に楽しみながら仕事をしていると細木さんは話します。
「地域の食文化って、行かないとわからないじゃないですか。『え、こんなの食べてんの!』というのがいっぱいあるんですよね。それを掘り起こすだけで、すんごい楽しいんですよ。その思いをしっかり乗せて、『この商品で食卓が明るくなったらいいな』とか『誰のもとに届くんだろうな』って想像しながら作ることで、商品の持つオーラも変わってくると信じています」
四万十の食文化を、全国の食卓へ。細木さんの目はさらにその先にある地域の未来にも向けられています。
「商品を買って、使ってもらって、その商品が生まれた地域に興味持ってもらって。実際に遊びに来てもらって、お土産にまた別の商品を買って、それを誰かに贈る…そういうちっちゃいサイクルがいっぱいできたら、面白いなぁと思うんです」
会社名の「百笑」は、四万十市にある地名の1つ。川がどよめく音が語源となっており、「百人が笑いどよめく会社」にしたいという思いを込めて、名付けられました。
日本全国の人々の笑顔が、巡り巡ってやがて四万十に還ってくるように。
しまんと百笑かんぱに株式会社は、今日も四万十の地で、笑顔の源を探し続けています。
今回にほんコッソリ良品店でお届けするのは、自分で作るだし醤油、つぎ足すだし醤油、つぎ足すだし酢のオリジナル3点セット。
宗田鰹は高知県がシェア日本一を誇る鰹。しかしほとんどの宗田鰹が関東の料亭など高価格帯のお店で使用されるため、商品を作った15年前は地元の人にとってあまり馴染みのない鰹でした。
鰹と比べて血合いが多く、「香りは鰹で、味は宗田」と呼ばれるほど深い味わいが特徴です。
ご家庭にある醤油を瓶に注げば、まろやかなだし醤油に早変わり。
豆腐やだし巻き卵、卵かけご飯にかけてその風味の違いにぜひ驚いてください。
こちらは四万十産の無添加醤油が既に入っており、よりお手軽にだし醤油を楽しめる逸品。
四万十川に沿って地下に流れるミネラル豊富な伏流水を使用した醤油で、「自分で作るだし醤油」との味比べも楽しめます。
煮物や炒め物にそのまま使うだけでなく、薄めて蕎麦やうどんのつゆにすることもできます。炊き立てほかほかのご飯にかけるのが、1番おすすめの食べ方!
こちらは醤油ではなく米酢が入っただし酢。お酢は無添加の米酢を使用しています。
寿司酢や酢豚といった料理だけでなく、餃子を食べる際に醤油と合わせてポン酢にしたり、そうめんにかけたりなど、用途は無限に広がります。
3点すべて、10回ほどつぎ足すことが可能。だしが出なくなったら中身の鰹節を取り出して刻み、ふりかけにして食べられます。
最後まで無駄なく楽しむことができる調味料。
食材を無駄なく食べていた日本従来の食文化に対する敬意も込められています。
高知県南西部に位置する四万十市。平成17年4月に旧中村市と旧西土佐村が合併して誕生した市です。
本流に大規模なダムが建設されていない「日本最後の清流」、四万十川を有し、春から夏は特にカヌーやラフティングといったアクティビティを楽しむ人で賑わいます。
四万十市の中村は「土佐の小京都」と呼ばれていることをご存知でしょうか。
室町時代、前関白である一条教房(いちじょうのりふさ)公が応仁の乱による戦火を避けるため、中村の地に御所を構え、京都を模したまちづくりを始めたことが理由です。
1946年に発生した「南海地震」によって当時の街並みはほぼ消え去ってしまいましたが、碁盤の目状の街並みや、「大文字の送り火」など京文化の名残は今も見受けられます。
土佐三大祭りの1つに数えられる「一条大祭」も、地元の人に「いちじょこさん」と呼ばれ親しまれる、京文化の名残を感じる華やかな一大イベント。春・夏は四万十川、秋・冬は小京都と季節によって異なる顔を魅せる町です。
「つぎ足すだし醤油はシンガポールの人が作ったんです」と意外な誕生秘話をコッソリ教えてくれた細木さん。
実は「自分で作るだし醤油」が完成したあと、シンガポールで行った商談にて『自分で醤油を入れるのが面倒』という感想を元に生まれたのが、予め醤油を入れた「つぎ足すだし醤油」なのだとか。
海を越えた異文化交流で出来上がった「つぎ足すだし醤油」
今回はどちらの商品も試せるオリジナルセットなので、自分の好きなお醤油と、四万十自慢の醤油屋さんとの味わいの違いもぜひお試しください。
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