「真鍮」の独特の輝きや魅力を届けたい。
大手楽器メーカーが数多く本社を置く静岡県。
浜松市のお隣、湖西市で楽器の部品を製造している山本工業有限会社が
2021年に自社ブランド「BRASSCENE」を立ち上げました。
きっかけは、1つのテレビ番組から。
そのストーリーを社長の山本哲也さんと、BRASSCENEのチームリーダーを務める木下さん、
営業担当の松田淳さんにお聞きしました。
2020年から始まった新型コロナウイルスの流行。
公演の中止や延期により楽器製造の注文も途絶え、管楽器部品をメインに製造していた山本工業有限会社は休業を余儀なくされました。
今後、会社をどうしていくか。社長の山本さんが木下さんに相談すると、前日に木下さんが見たテレビ番組の話題に。
番組の内容は“東京の町工場が自分たちの技術で新しいものづくりに挑戦している”というもの。番組を見て「自分たちも加工技術や品質管理を活かして、何かものづくりができるんじゃないか」と感じた木下さんは「社長、これやりましょう。ぜひ見てください」と山本さんに勧めました。
その日の夜に番組を視聴した山本さん。週末には町工場のものづくりを支援した大阪の会社に連絡をし、打ち合わせをしたのでした。
2021年7月に、新ブランド立ち上げのプロジェクトがスタート。
「休業日だけど出社の必要がある、自分の時間を削ってでもやってくれる人に参加してほしい」と有志者を募り、山本さんと木下さんを含む5人がプロジェクトメンバーに。
商品開発のいろはを学び、1日中アイデアを出し合う日々は、本当に楽しかったと2人は笑います。
カトラリーやステーショナリーなど様々なアイデアが出ましたが、2年の開発期間を経て最初に出来上がった商品はバイオエタノールランプ。コロナ禍によるアウトドアの流行と、「これを作りたいからプロジェクトに参加したんだ」と力強く語ったキャンプ好きのメンバーの熱意によって生まれました。
ブランド名のBRASSCENEは「brass(真鍮)」と「scene(景色)」を組み合わせた造語。管楽器部品の製造で培った技術で誠実に、繊細に、人々の心を奏でる真鍮のある景色を作っていくという思いが込められています。
「バイオエタノールランプはキャンプでよく使われるアイテムですが、BRASSCENEはアウトドアブランドではありません。大事なのは管楽器の部品を作る職人として、その技術を活かすこと。真鍮の独特の輝きや魅力を届け、生活に潤いを与えられるインテリアブランドとして、ものづくりをしていきたいです」と木下さん。
BRASSCENEが奏でる真鍮の世界の裏側には、職人たちの不屈の心が宿っていました。
山本工業有限会社は1971年創業。山本さんの祖父の代から管楽器部品を製造しています。創業当初から父親の代まで従業員数は15名前後でしたが、今では55名の社員が働いています。
山本さんが会社を継いだのは、今から16年ほど前。それまでは、東京のコピー機の会社で営業職として働いていました。「会社を引き継いでほしい」と父から相談があったときは、複雑な心境だったそうです。
「当時は営業の仕事が本当に天職だと思っていました。家庭もできたし、このまま死ぬまで働こうってくらいの意気込みだったので”今更”って感じたのが本音です」
前向きとは言えないスタートだった社長業。しかし今では、「もう今から別の人生なんてのは全く考えられない」ときっぱり話します。
「社長になって、15~16年でたくさんの繋がりができて。今はもう、責任感が一番僕の中では大きいです。社員や従業員を雇っていて、仕事がうまく回らなくなると迷惑かけるお客さんがいて。でもそれは悪い意味ではなくて、お客さんに喜んでもらいたいっていうモチベーションになるんです」
そんな山本さんのもとで働く社員さんたちも、会社に対する想いはひとしお。
「BRASSCENE」という新たな試みにもそれが現れていました。
企業からの依頼や発注ではなく、自分たちの手で新しい商品を作るという取り組みは楽しくもあり、ゴールが見えない果てしないもの。
楽器製造が再開し始め、焦りが募る中、商品開発を諦めなかったのは「会社にも社長にも色々お世話になってきたので、自分にできることで何か恩返しをしたかったんですよね」と木下さんは語ります。
BRASSCENEの営業を務める松田さんは、3年前に派遣社員として山本工業有限会社に入社していましたが、BRASSCENEに携わり始めたのは1年前。
「僕は秋田の方から湖西市に来ていましたが、今までの職場は期間従業員だったので、同じ固定したところで働くっていうことがなかなか叶わなくて。”末長く一緒に働こうぜ”って言ってくれた社長がいるっていうのはありがたいことです」
「BRASSCENEの初期メンバーではないですが、僕がこのチームに入ることによって、今まで関わらなかった新しい業界の人とご縁を結んで、会社やブランドの活力になっていけたらな。と思っています」
社長、社員それぞれが思いを重ねながら、BRASSCENEのものづくりは続いていきます。
BRASSCENEの最初の商品である「バイオエタノールランプ」は、トウモロコシやサトウキビ、木材など動植物の生物資源(バイオマス)を発酵させて製造したバイオ燃料を使用して火を灯します。煙やニオイが発生しないため、アウトドアだけでなく、インドアでも楽しむことができます。
使い方は簡単。本体中央にあるタンクに市販のバイオエタノールを直接注ぎ、着火剤で火をつければ炎がゆらめき立ちます。ガラス板は風除けとして機能しながら、炎ならではの独特の動きをありのままに見せてくれます。
消化は付属の火消し蓋をタンクの上に被せれば良いだけ。と、最後まで手間要らず。火消し蓋も真鍮製で、ツイストされた持ち手部分も美しく、指揮棒のような凛とした雰囲気を持っています。
本体の側面は1枚の真鍮板を溶接し、3度に渡る丁寧な研磨をすることで、溶接部分の繋ぎ目が見えないほど美しい表面に。ヘアライン加工によって、真鍮の質感が残る落ち着いた光沢になっており、お部屋に上品な華やかさをもたらします。
「アウトドア用品って、使わないときは箱の中にしまわれていることが多いじゃないですか。でもこのランプなら部屋にそのまま置いても違和感がなくて、それでいて規則的ではない自然体の炎をゆっくり楽しんでもらえるんです」と誇らしげに松田さんは語ります。
また、真鍮の特徴として挙げられるのが、高い耐久性と経年変化。
使用頻度や環境によって異なる風合いが現れるため、時間をかけて使うほど、あなただけのバイオエタノールランプとしてその存在感を一層際立たせます。長くこのランプを楽しんでもらいたいという思いから、時代に左右されないシンプルなデザインに作り上げています。
静かに揺れる炎には、人の心を落ち着かせるリズムである「1/fゆらぎ」が含まれていることはご存知でしょうか。ぜひ、自分の大切なお部屋と、BRASSCENEのバイオエタノールランプで、心安らぐリラックスタイムをお過ごしください。
湖西市は、静岡県で最も西側にある市。浜名湖に面しており、古くから「湖西地方」と呼ばれていることから市名の由来にもなっています。本州のほぼ中央にあり、江戸時代は交通・輸送の要衝として栄え、宿場町が築かれました。
その歴史から多くの史跡が残っており、代表的なのが「」。全国で唯一現存している関所建物です。1600年に徳川家康によって設置され、幕府直轄地として特に厳重な警備体制が敷かれていました。
明治時代以降、関所としての役目を失った後も、学校や町役場として活用されたことから、現代まで建物がしっかりと残り、1955年には国から「特別史跡」に指定されています。
江戸時代から現代に伝わるものとして、もう1つ有名なのが「遠州新居の手筒花火」
毎年7月に開催されており、「東海道の奇祭」と名高い300年以上続く伝統のお祭りです。火薬が詰まった竹筒を男衆たちが手に持ったまま点火し、数十本の火柱が上がる中で踊るという豪快なもの。
浜名湖がもたらす豊かな恵みや、江戸時代から続く歴史ある風景を残しながら、工業都市でもある湖西市。近年では「職住近接」による暮らしやすい町の実現に取り組んでいます。
バイオエタノールランプの魅力について聞いていくと、「クッカースタンドも作ったので、料理もできますよ。アヒージョやチーズフォンデュを作ったんですが、とてもおしゃれな雰囲気になりました。おすすめです!」と木下さん。
松田さんも「自分もBRASSCENEメンバーと一緒にSNS投稿用の撮影でマシュマロを焼きました。バイオエタノールを使用しているので燃料くささが無く、直火で美味しく焼けます!」と続きます。
アウトドアの醍醐味、料理も楽しめちゃうバイオエタノールランプ、ぜひお試しください。
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