デニム生産量日本一の広島県福山市で見つけた、デニムの新たな可能性。
ジーンズやジャケットなど多種多様な製品が揃い、根強いファンが多いデニム。
デニム製品は、紡績、染色、織布、加工、縫製、洗いといった各工程が分業制で製造されており、
デニム生産量日本一の広島県福山市には専門性の高い企業が数多く集まっています。
株式会社四川もそのひとつ。繊維製品全般の洗い加工や染色を担う企業です。
現在、自社ブランド「PooLoce(プルス)」にてオリジナリティ溢れるデニム製品を数多く販売中。
製品の魅力やブランドへの思いをお聞きしました。
株式会社四川が自社ブランド「PooLoce」を立ち上げたのは2018年。福山市で開催されるばら祭に出品しないか声をかけられたことから、本格的にものづくりが始まりました。
目をつけたのはデニムループと呼ばれるジーンズにベルトを通すためについている輪っかの部分。染色や洗い加工をする製品と共に、加工などで破損してしまった時の予備として届くのですが、使用頻度はかなり低く、返却の必要も無いことから大量のデニムループを持て余していました。
これを何とか使いたいと社員みんなで意見を出し合い、デニムループを「編む」という発想に。代表の能宗晃司(のうそうこうじ)さんと能宗美会(のうそうみえ)さんや、商品開発に携わった山本美帆さんが主となり、社員さんと相談しながら、自分たちが作ってみたいもの・使ってみたいものを挙げては手を動かし、作り続けています。
PooLoceの由来は「Eco」と「Loop」を繋げて逆から読んだもの。廃棄されてしまうデニムループを新しい製品として有効活用することから、美会さんが考案しました。今ではPooLoce製品自体の注文や、ハンドメイド作家さんから「素材としてデニムループを使いたい」といった注文が増えたことから、一からデニムループ自体を製造しています。
「無駄のない製品づくり」という意識はそのまま。現在も製造過程で出てきてしまう端切れをいかに有効活用できるか考えながら、新商品のアイデアを出し合っています。
注文を元に製品を作り続けてきた分、自分たちでものづくりをしていくことが本当に楽しいと美会さんと山本さんは笑います。
製品を作る際に心がけていることは何ですか?と聞くと「『やだかわいい!』と皆がほっこりするような、笑顔になれる商品を作りたいと思っています」と笑顔で答える美会さん。
ブランド立ち上げ当初に作った製品たちを今でも大切に使っている3人。
デニムの色褪せた風合いから、その愛着が滲み出ていました。
1977年創業の株式会社四川。洗い業を始めたきっかけは80年代に大流行したデニム加工「ケミカルウォッシュ」。専用の石と一緒にデニムを洗うことでマダラ模様に色落ちする加工方法のことで、それまでデニムを「洗う」という概念がなかった分、「洗い加工だけで御殿が建つ」と言われるほどの流行でした。
仲の良かった縫製企業さんからその盛況っぷりを聞き、洗い業をスタート。ケミカルウォッシュの流行自体は間も無く落ち着いていきましたが、培ってきた洗い加工や染色技術を活かし、今日までデニムと共に事業を続けています。
そんな株式会社四川が編み出した加工方法に「ディベルト加工」という色止め加工があります。ケミカルウォッシュに代表されるように、色落ちすることによって生まれる風合いに価値があるデニムには不向きに見えますが、実はPooLoce製品を大きく支えています。
色落ちするデニム生地には「他製品に色移りしやすい」という負の側面があります。
質の高い高級品を取り扱う百貨店ではこの点に対して敏感なお店も多く、色移りの程度を評価する「摩擦堅ろう度試験」にクリアしているかチェックがあるほど。
ディベルト加工は、摩擦堅ろう度試験の湿潤3級以上をクリア。水に濡れるとさらに色移りしやすくなってしまうため、デニム生地の一般的な級数は2級以上となっており、非常に高評価です。(級数が低い=色移りしやすい)
デニム風にプリントされた生地を扱う製品も多くある中、本物のデニム生地を扱いながら、エコバッグやクッションカバーといった日常生活で触れ合う機会の多い製品を安心して使えるのもPooLoceの魅力のひとつ。福山市鞆の浦にある町屋旅館「御船宿いろは」など、宿泊施設でもPooLoce製品が使われています。
トレンドの移り変わりが激しいファッションの世界。長い歴史を持つデニムの固定観念に捉われず、時代が求めるものに応え続ける姿勢が、株式会社四川の強みです。
にほんコッソリ良品店でお届けするのは、PooLoceがこれまでに編み出してきた製品のイチオシを詰め込んだ限定セットです。
色落ちしない「ディベルト加工」は、能宗さんたちが予期していなかったもうひとつのメリットを生み出していました。色止め加工をすることによって固くなってしまうデニム生地を「撥水剤」で柔らかくすることに成功したのです。
外出中の突然の雨でバッグが濡れることもなければ、バッグの中での液漏れをしていてもタオル等で簡単に拭き取ることができます。
「町中で実際に使っている方を見かけることもあって、とても嬉しかった」と話す晃司さん。
畳んで持ち運びができるよう、バッグにはデニムループつき。今回は収納可能なミニポーチも付いており、お出かけに欠かせない便利アイテムです。
デニムループを織って作られたコースター。斜めに編まれているのは、裁断した断面からデニム繊維のほつれが出てくるのを防ぐため、という細やかな気配りが見えます。柄はランダムとなっており、デニムループの色合いだけでなく、糸の色も違うため、どんな色合いのコースターが届くかはお楽しみ。
「御船宿いろは」の食事処でも使用されている一品です。
縁もあるので小物入れとしても活用できる優れものですが、実は偶然の産物。
「普通に丸コースターを作る予定だったのですが、縁を縫っていたら立ち上がって…でも、これはこれで使える!って盛り上がったんですよね笑」と山本さん。
アクセサリーや腕時計、鍵といった小物を置くと、それだけでディスプレイのように可愛らしくなります。
コースターと一緒にテーブルに並べたくなる大きめサイズのポットマット。
裏にもしっかりデニム生地を張り合わせており、熱にも強く、テーブルを傷つけません。
長年使用していくと、デニムならではの色落ちと風合いが出てきて愛着が湧くこと間違いなし。おうちでのティータイムをぜひ快適にしてくださいね。
藍色の落ち着いた色合いは、どんな服装や家具にも相性ピッタリ。
服だけじゃないデニムの魅力を、ぜひご堪能ください!
広島県の最東部に位置する福山市。新幹線停車駅の福山駅はホームから福山城を見ることができる「城から最も近い駅」として有名です。
市名の由来も福山城から。江戸時代、水野勝成が福山藩初代藩主となり、福山城を築城。周辺地域は蝙蝠山と呼ばれており、「蝠」と「福」が似ていることから「福山」と名付けられたといいます。
福山市はデニムの生産量が全国シェア約8割と日本一ですが、これも水野勝成が綿の栽培を奨励したことが理由のひとつ。日本三大絣に数えられる「備後絣」が生まれ、織布技術や藍染めなどの染色技術が培われ、デニム生産に必要な知識と技術が下地としてすでにあったことが発展につながりました。
福山駅から南、瀬戸内海のほぼ中央に位置する港町「鞆の浦」は、満ち潮と引き潮がぶつかる境目。潮の流れが変わるのを待つために数多くの船が集まったことから「潮待ちの港」として栄えました。
江戸時代、鞆の浦に訪れた朝鮮通信使が「日東第一形勝(日本で一番美しい景色)」と絶賛したエピソードが残る福禅寺 対潮楼を始め、美しい建築物や澄み渡る青い海と空が江戸時代から今もなお、残り続けています。
美会さんにPooLoceの密かなこだわりを聞いてみると、「できるだけすべての製品にループを入れたいなあって心がけています。デニムループはもちろん、革のタグも輪っかですね」とコッソリ。
時にはどこにループ状のものを入れるか、頭を悩ませることも増えてきたそうですが、その苦労もまた、製品に対する愛着が増す理由でもあるようでした。
商品規格 |
|
---|---|
商品について |
|
その他 |
|
ショップ情報 |