新進気鋭のアウトドアブランドが、奥静岡からやってきた。
静岡市の面積の80%を占める中山間部、奥静岡。豊かな自然に囲まれる中、1つの金型工場が奥静岡を盛り上げるために新たなアウトドアブランドを立ち上げました。
ブランドに込められた、アウトドアと奥静岡に対する願いとは。
取締役の朝比奈亨さんと、プロダクトデザイナーの井上奈穂さんにお話をお伺いしました。
静岡市葵区にて、自動車のヘッドライトや工場で使用されるロボットの部品製造をメインに事業を展開するSスズキ技研工業。
2代目取締役を務める朝比奈亨さんは、自動車業界の一次サプライヤーでの勤務経験があり、「部品だけでなく、自分たちの技術で納得できる製品を世に届けたい」という想いから新たに商品開発事業を開始しました。
「OKOSIZ(オコシズ)」は、静岡市内メーカーの商品開発をサポートする「つなぐデザインしずおか」プロジェクトの参加をきっかけに、デザイナーの大森謙一郎さんの協力を得て立ち上げたアウトドアブランドです。
ブランド名の由来は「静岡」を「興す」から。ロゴはSスズキ技研工業でデザイナーを務める井上奈穂さんたちが考案したもので、親子が手を取り合ってキャンプを楽しんでいる様子を表し、カラーは奥静岡にある井川ダムの美しいターコイズブルーをイメージしています。
アウトドア製品の開発を選んだ理由の1つは、朝比奈さんがアウトドア好きだったことから。
生まれも育ちも静岡市で、幼少期から山や川が遊び場だったのだとか。
奥静岡には、その豊かな自然を生かして十数ヶ所のキャンプ場が点在しています。
「OKOSIZ」を通してどんなことを伝えたいですか?と朝比奈さんに聞くと、「何よりも楽しんでほしい」とのこと。
「医療関係の仕事をしたこともありますが、どんなに最新鋭の機械があっても、その人に生きる力がなくてはやっていけないんですよね。病気の原因にもストレスというのはよく絡んできていて。ストレスをなくすためにも、息抜きの1つとしてアウトドアという遊びを楽しんでほしいです」
日常から離れ、自然と接するアウトドアによって生きる活力を得てほしい。
そんな願いがこもったOKOSIZの届けるツールたちは、アウトドア経験者ならではの工夫がたくさん施されています。
アウトドアブランド「OKOSIZ」の目的は、アウトドアの楽しさを訴求するだけではありません。
静岡市の80%の面積を占める奥静岡地域ですが、人口は静岡市全体の5%程度。農林業の低迷による市街地への人口流出が続いており、高齢化も相まって地域社会の存続が危ぶまれる集落も存在しています。
朝比奈さんはこうした現状に対して「地域の魅力を伝えるだけじゃなくて、そもそもの働き口を作らなくては人はやってこない」と力強く語ります。
そう考える理由の1つに、5年ほど前に亡くなったお姉さんの存在があります。東京の企業で勤務し、自分の命を削るように仕事をする姿に、家族は不安を感じていたそうです。
「親も『行かせるんじゃなかった』と言っていて。でも、ここには働く場所がないんですよね。東京で働くこともいいけれど、もっと選択肢があっても良かったのかなと今でも思うんです」
その土地で生きる上で欠かせない働き口。仕事を増やし、働ける場所を作ることが「OKOSIZ」のもう1つの目的です。
現在販売されているスウェーデントーチとグリルプレートは大森謙一郎さんによるデザインですが、「OKOSIZ」を通して経験を積んでほしいという朝比奈さんの指針から、その後の商品開発は大森さんのアドバイスを頂きながら、3人の社内デザイナーが製品デザインを担います。
現在、新しい商品のアイデア出しに奮闘中。プロダクトデザイナーの井上さんはマーケティングの勉強もしながら、キャンプでも簡単に淹れられるコーヒードリッパーの企画を考案しています。
「自分はキャンプ自体ほとんど未経験者で。これから勉強していきながら、キャンプをまだやったことのない人がやってみたくなるような商品を作れたら」と話す井上さん。デザイナーの1人に奥静岡出身の方がいるため、地域の話を聞きながら3人でアイデアを練ることもあるようです。
Sスズキ技研工業の挑戦は始まったばかり。これからの「OKOSIZ」と奥静岡に期待が高まります。
今回、にほんコッソリ良品店が販売するのは、スウェーデントーチとグリルプレートがセットになったキャンプスターターセット。Sスズキ技研工業とデザイナーの大森さんのこだわりが詰まった、とっておきのキャンプ用品です。
クックトーチは、アウトドアで用いられるスウェーデントーチの利便性を高めたツール。
スウェーデントーチとは、垂直に立てた木の丸太に切り込みを入れて燃やすもので、一度火がつけば薪をくべる必要がない点が重宝されています。
スウェーデントーチは木の切り込みによって内部に空気が入り込むことで、丸太が燃え続ける仕組み。料理に使用する場合は空気の流れを阻害しないよう、切り株の上にさらに五徳を設置する必要がありますが、クックトーチは予め五徳の機能も持ち合わせています。
クックトーチはCT-1・CT-2の2種類展開。火の加減と燃焼時間が異なっています。
CT-1は強火で約30分程度燃えるので、肉や魚の調理メインで利用したい方におすすめ。
対するCT-2は中火で約40分程度燃えるため、マシュマロなど簡単なものを焼きたい。といった方にぴったりです。
奥静岡のヒノキで作られており、ヒノキならでは香りが気持ちを落ち着かせてくれます。
キャンプでの調理に欠かせないグリルプレート。Sスズキ技研工業が得意とする切削技術が光る逸品です。
グリルプレートの溝には傾斜がついており、肉や魚を焼いた際、脂が端に溜まる構造に。溜まった脂でソースを作ってパンにつける等、旨味を最大限に生かすことができそうです。
こちらもGP-F1・GP-A1の2種類展開。
F1は鉄製。1874gと重厚な作りですが、熱が均一に広がり、蓄熱性が高いためじっくりと焼きたい料理を作る際に重宝します。
A1はアルミ製で、熱伝導率の高さが強み。アルミ製のGP-A1と強火のクックトーチCT-2を組み合わせて使用すると、火おこし含めて30分程度でステーキが焼き上がります。
オクシズは奥大井・奥藁科・安倍奥・奥清水の4つのエリアに分かれており、各エリアにて棚田や茶畑といった美しい景観を持ち、独自の風習や祭事が伝えられています。
南アルプスの玄関口であり、奥大井湖上駅の絶景が有名な奥大井。
開湯1700年の歴史を持つ温泉があり、わさび栽培発祥の地といわれる安倍奥。
茶市場にて最高値で取引されることが多い、良質なお茶の産地である奥清水。
Sスズキ技研工業がある奥藁科は、静岡茶の始祖と呼ばれる聖一国師という僧が生まれた地域と伝えられています。鎌倉時代、聖一国師が留学先の宋から茶の実を持ち帰り、現在の静岡市足久保にて栽培したのが始まりだそうです。
今でも有名なお茶の産地の1つとして数えられており、奥藁科大川で栽培されるお茶は「本山茶」と呼ばれ、静岡県の三大地域ブランド茶として古くから多くの人々に愛されています。
また、全国各地に伝わるダイダラボッチの伝説が名前の由来になった「ダイラボウ」と呼ばれる標高561mの山があり、雑木林や茶畑の中をハイキングすることができるほか、パラグライダーの出発地点としても活用されています。
コッソリ伝えたい商品の魅力を井上さんに聞いてみると、「クックトーチのCT-2は中火で比較的長く燃えるため、料理だけでなく、ゆっくりとたき火を眺める際にもおすすめです!」とのこと。
夜、静かに燃える火を眺めながら1人コーヒーを飲むのもよし。火を囲んで大切な人と語り合うのもよし。いつもとちょっと違う特別な夜をお過ごしください。
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